行動ターゲティングという“お薦め”

ネットビジネスを変える新潮流(第4回)

2008年03月18日(火)

[ 76 号]

広告の世界でも主役はコンシューマー

 ネット上から欲しい情報を探し出す手段の効率化について前回述べたが、その中でもリコメンデーションという機能についてもう少し触れておきたい。eコマースの世界ではクロスセル、アップセルというマーケティングの戦術として、あるいはロングテール活性化の仕組みとして既に浸透している“嗜好性の抽出”というテクノロジーだが、今や広告配信の仕組みにも活用されている。この潮流が意味するものは、従来のサイトマッチ広告やコンテンツマッチ広告ではなく、より細分化された“コンシューマーマッチ広告”という考え方に他ならない。今では“行動ターゲティング広告”として広く認知されているが、これもネットの主役がコンシューマーにシフトしている証である。

それはもはや“広告”ではない

 行動ターゲティング広告の仕組みを簡単に説明すると、ADネットワークに登録されたサイトにユーザーが訪れた際、あらかじめ各サイト内に仕込んでおいたカテゴリー情報をcookieに記憶させ、次に訪れたサイトでマッチする広告を表示する、といったものだ。確かにユーザーの嗜好性に合致した広告の配信は可能となるが、既存広告カテゴリーとのマッチングという点で、サイト単位での大まかな嗜好性抽出しか実現できていないのが現状だ。しかしながら、今後は同一サイト内でも「どのコンテンツを見たか」というレベルでの、つまりより細分化された嗜好性の抽出が主流になると考えられる。この基盤となるのがメタデータとオントロジーという概念である。タグをはじめとするメタデータによってコンテンツ単位で意味情報が付加され各サイトが構造化される。そしてその構造自体を訪れるユーザーの嗜好性抽出のフィルターに活用する、といった仕組みである。すでに弊社でも、まったく新たなチャレンジであるこの仕組みの共同開発に着手しているが、これによりリコメンデーションを細分化し、広告商品の新たな価値を生み出せるものと考えている。またユーザーにとっても、このリコメンデーションのロジックが精緻となれば、もはやコンテンツと広告はボーダーレスとなり、自分にとって広告という名の“有益なコンテンツ”となるのかもしれない。

石上 裕◆2000年より株式会社ネットエイジにてさまざまなネットビジネスをプロデュースし、株式会社ライフバランスマネジメント取締役、株式会社タイルファイル取締役を歴任。 2006年9月、株式会社TAGGYを創業し、現在、同社代表取締役社長
( 石上 裕(株式会社TAGGY 代表取締役社長) )

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