米アマゾン、ダウンロード音楽販売を開始

2007年10月10日(水)

[ 56 号]

 9月25日、米Amazon.com社はMP3ファイル形式の音楽ダウンロード販売サービス「Amazon MP3」を開始した。特徴は、現在取りそろえているすべての楽曲がDRM(デジタル著作権管理)フリーという点だ。四大レーベルのうちEMIやユニバーサルはすでに参加しており、今後はSONY BMGとワーナーの2社も参加を予定している。

Amazon MP3のトップ画面

Amazon MP3のトップ画面


 Amazon MP3は、現在はまだ米国だけのサービスで、日本の住所では購入できない。しかしアマゾンの米国アカウントを持っていれば日本からも購入できるとも言われる。ウィンドウズ・Mac用がそれぞれ用意されている専用ソフト「Amazon MP3 Downloader」を使えばダウンロードした楽曲を自動的にiTunesやウィンドウズ・メディア・プレイヤーに登録できるため、管理も簡単だ。

 価格はiTunesよりも戦略的な89セントから、アルバムはなんと5ドル99セントからと非常に格安に設定されている。しかも音質はiTunes Plus楽曲と同じ256kbpsと高音質だ。

 アップルが音楽ダウンロードサービスを開始した当時、DRMの導入を条件としていたのは音楽業界だった。アップルは非公開のDRM技術であるFairPlayを開発、iTunesミュージックストア(現iTS)を開始した。

 iTSは大成功した。iPodはひとつのフォーマットと呼ばれるまでとなった。ユーザーはDRMに縛られる形でiPodを買い続けることとなり、iPodのシェアは70%を超えた。

 iTSの成功は、同時に音楽業界から価格決定権を奪い取ることになった。売れるタイトルはもっと高く売りたい音楽業界と、一律価格を決して曲げないアップルの間で綱引きが繰り返されているが、アップルはDRM技術を公開しておらず、iPodで再生するにはiTSで販売するか、DRMフリーにする以外の選択肢がなかった。これが現在のDRMフリーへの動きの本当の理由だ。DRMを条件とした音楽業界はそれによって自らの首を絞め、アップルに市場独占の機会を与えてしまったと同時に、DRMフリーを選択せざるを得ない状況を作ってしまったというわけだ。

 このような経緯を見ると、アップルが先日発表したiTunes Wi-Fi Music Storeの意味も見えてくる。これからはiTS以外のサービスでも楽曲を買って使えるようになるが、iPodユーザーにiTSが一番使いやすいサービスであることをアピールできれば、ユーザーはiTSを使い続けることになるだろう。もしiTSで定額聴き放題のサブスクリプションサービスでも始まれば、やはりiPodユーザーはiTSから離れられない。そしてすでにネットに繋がったiPodにとって、それは難しいことではないのだ。4GBの低容量iPodでもiTSの全ての曲を持ち歩ける。そんな時代がやってくるかもしれない。

 アップルはまだまだこの業界の一歩先を走っているようだ。
( 矢橋司 )

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