戸建て住宅向け「床下点検ロボット」

2007年12月04日(火)

[ 64 号]

 三洋電機は、戸建て住宅の床下点検作業において、住宅メーカーのサービス向上を実現する「床下点検ロボット」を開発した。現在、複数のメーカーと共同で評価を行っており、サービス・メンテナンス体制も含めて事業化に向けた準備を進めている。高さ30~40センチ、段差8.5センチまでの狭いスペースを、人に代わって調べることができ、実用化されれば、配水管や壁面の傷などの点検に際して、調査時間の大幅な短縮が可能になる。姉歯問題をはじめ、近年、住宅業界は暗いニュースが多かったことを考えると、これはちょっとした明るいニュースといえるかもしれない。

「床下点検ロボット」センサーで障害物を自動的に回避

「床下点検ロボット」センサーで障害物を自動的に回避


「長寿命住宅」実現のための点検作業へ

 ただ、同社がこのロボットを開発した背景には、ネガティブな話題より、むしろ、いいものを手入れして長く使う「ストック型社会」への移行がコンセプトにあるようだ。つまり、「住生活基本法」が2006年から施行されたことによって、住宅業界では「長寿命住宅」が叫ばれている。そのため住宅の定期的な点検作業が必要となっているわけで、リフォーム詐欺などは、この流れから生まれた一部の悪質な事例と捉えるべきなのである。

 「弊社ではもともとホームセキュリティーロボットなどを手掛けており、今回の発表もその一連の研究成果と考えてもらいたい。きっかけはグループ企業であるキャリアホームからの《床下を見られるツールがほしい》という声を受けて。床下や通気口のほかにも活躍する場は考えられるだろうが、それは実用化の段階になってから出てくるトピックとなろう」(同社広報)

 使い方は、ロボットに搭載されているカメラの映像を、室内でPC画面を見ながらマウスやジョイパッドで遠隔操作するだけ。ただ、そこいらのリモコンマシンと違うのは、各種センサーや画像処理技術を搭載しているので、障害物などを認知・回避する機能を実現している点である。例えば、障害物回避機能/壁沿い走行は、障害物センサーによって、細かい操作をしなくても前後の障害物を自動的に回避することを可能にする。これにより、壁際に沿った前後走行や、ロボット幅ぎりぎりのスペースで走るのも雑作ないことだ。一方、通気口自動通過は、次の区画に移動する際、画像処理技術によって通気口の位置を自動で認識し、PC画面のボタンひとつで通気口を自動通過することが可能とする。このほかでは、点検中の床下の映像をPC画面でリアルタイムで見られることも特筆されていい。素人である家主が一緒に見る際には、三洋独自の映像点検機能が、分かりやすく正確な状況把握にナビゲーターの役目を果たす。

 「いわゆる目に見える範囲での点検ツールなので、まずはシロアリやネズミ被害ほか、当たり前の視認ツールということになろう。ロボットが撮影した写真は、弊社独自のソフトでパソコンに記録することができ、その場でレポートを作成し、説明することもできる。ただ、この機能にしても、メーカーの再訪問の手間を省き、家主の負担軽減を考慮してのもの。それ以上の含みはない」

 今のところ話題先行で「騒いでいるのはマスコミだけ」と担当氏の口調は終始、慎重だったが、「来秋にはテスト販売に漕ぎ着けたい」とのこと。何しろ、この奥行き42×高さ20×幅20センチのミニタンクに現状、ライバルはいない。100万円以下という価格からも、近い将来、住宅リフォーム業界で大活躍する日はそう遠くなさそうだ。
( 板垣威史 )

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