「職場不適合」も未然に防ぐ

【ITワーカーのメンタルヘルス対策(3)】

2008年04月15日(火)

[ 80 号]

株式会社ライフバランスマネジメント 渡部 卓 代表取締役に聞く

 内閣府がまとめた平成18年度の国民生活白書によれば、大学新卒者の3年以内の離職率が2002年度卒業者では実に34・7%に達しているという。新卒労働者の早期離職率は俗に「七五三」(中卒七割、高卒五割、大卒三割)と呼ばれ、企業人事担当者の大きな悩みの種となっている。変化の激しいIT業界は新卒者の早期離職率が特に高いとも指摘されており、主な要因の一つに従業員のストレス耐性の低さが挙げられる。今回は、同社が提供する「HIL」(早期離職予防プログラム)を紹介。新入社員のストレス耐性を診断し、早期離職のリスクを低減・回避するツールだ。

HIL(エイチアイエル)は、精神医学・心理学・採用分野の研究成果と、同社で蓄積してきた ストレスチェックサービスの運営ノウハウを合わせ、新たに産学連携で開発した離職予防プログラム。出張ワークショップのモニター体験(無料)も可能だ(http://www.lifebalance.co.jp/service/hil.html)

HIL(エイチアイエル)は、精神医学・心理学・採用分野の研究成果と、同社で蓄積してきた ストレスチェックサービスの運営ノウハウを合わせ、新たに産学連携で開発した離職予防プログラム。出張ワークショップのモニター体験(無料)も可能だ(http://www.lifebalance.co.jp/service/hil.html)


個人と企業との最適マッチング

 HILの受検者はペーパーテストで121の簡単な質問に答えるだけでいい。所要時間は20分ほど。HILを実施することによって採用予定者のストレス耐性が把握できるほか、採用企業の組織風土も分析可能という。そして、以上の特徴により採用予定者と組織との最適なマッチング(配置部署、上司、働き方など)を探ることも可能となる。

 ライフバランスマネジメントの渡部卓氏は「内定者にHILを実施することでストレス耐性を把握し、個人と組織のマッチングを図ることにより早期離職を予防するのが狙い」と語る。

 うつになりやすい性格類型には3つのタイプがあることは本連載の第1回(本紙78号)で触れたが、中でも新卒者世代に特に多いとされるのが『自己愛型』と呼ばれるタイプだ。思い通りに行かない現実を「周りが悪い」と責任転嫁し、離職に至るパターンが多いとされる。

 このようなケースでも、HILで事前に性格傾向を把握しておけば、早い段階で離職に至る要素を取り除くことも可能となる。その選択肢の一つとして、例えば同社が提供するMTOP(前号で紹介)を利用して従業員のメンタルタフネスを高めるプログラムを実施してもいい。HILテストは、採用応募者のストレス耐性を把握し、採用アセスメントツールとしての役割を持つのだ。

組織風土調査テストも実施

 もちろん新卒内定者ばかりでなく、企業の側も早期離職を招きやすい体質や風土を積極的に改善する必要がある。HILには、社員へ実施するテストも別途用意され、採用応募者向けテスト結果とマッチングさせることにより、応募者の早期離職傾向の把握が可能となる。

 「ストレスで苦しんでいる従業員に対して、精神論を押し付けるより『ストレス診断プログラムがあるから一度受けてみたら』と上司が一言アドバイスする方がどれだけ解決になるか。HILも採用の足切りにではなく、人材を活かす目的で利用して欲しい」と渡部氏は強調する。

 早期離職の予防は、従業員のストレス耐性の向上と、ストレスを招きがちな企業風土の改善のどちらが欠けても、うまく行かない。その意味でHILは、労使双方にとってメンタルケア意識の向上を促す格好のツールといえる。

「従業員のうつやストレス耐性の傾向を把握できれば、おのずと対処方法も見えてくるし、ひいては職場不適応や早期離職を未然に防ぎ、人材の定着につながります」

「従業員のうつやストレス耐性の傾向を把握できれば、おのずと対処方法も見えてくるし、ひいては職場不適応や早期離職を未然に防ぎ、人材の定着につながります」

( 斉藤円華 )

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