~「発電床」開発者・速水浩平氏に聞く~

究極のクリーン電力、普及間近?!

2008年05月20日(火)

[ 83 号]

 私たちが普段何気なく使う携帯電話。これがもし、自分で勝手に発電して充電いらずとなったら、エコだし何より便利だ。しかし、そんな都合の良い未来は果たしてやって来るのだろうか? 「発電床」や「音力発電機」の開発者である速水浩平氏に聞いた。

速水浩平◆株式会社音力発電代表取締役社長。「発電床」のアイデアを得たのは小学生の時。「スピーカに電圧をかけると音が出ますが、逆にスピーカに音をかければ発電できるのでは」。以来一貫してこの研究に取り組んでいる

速水浩平◆株式会社音力発電代表取締役社長。「発電床」のアイデアを得たのは小学生の時。「スピーカに電圧をかけると音が出ますが、逆にスピーカに音をかければ発電できるのでは」。以来一貫してこの研究に取り組んでいる


通話だけならPHSで可能?

 速水氏は、歩くだけで発電できる「発電床」や、空気の振動を音に変換する「音力発電機」を開発し、そのユニークな取り組みはテレビ朝日の番組「素敵な宇宙船地球号」でも取り上げられるなど、現在さかんに注目を浴びている。ちなみに本紙2月13日号で報じたJR東京駅での「発電床」実証実験は、速水氏らの技術を活用したものだ。

踏むとLEDが光る「発電床」は、既にイベント用としては実用化されている。レンタルなどの問合せ先は株式会社音力発電まで。→http://www.soundpower.co.jp/(写真は3月15日の横浜・発電ナイトにて)

踏むとLEDが光る「発電床」は、既にイベント用としては実用化されている。レンタルなどの問合せ先は株式会社音力発電まで。→http://www.soundpower.co.jp/(写真は3月15日の横浜・発電ナイトにて)


 例えば「発電床」で携帯電話の電力をまかなう事は可能なのだろうか? 速水氏に尋ねると、
 「大人一人が歩く時に『発電床』が起こせる電力は0.1~0.3wです。PHSの通話時の消費電力が約100mw(0.1w)と言われているので、理論上は、通話機能に限定すれば『発電床』でPHSを使用することができます」とのことだ。携帯電話より消費電力の小さいPHSでなら可能性がある、ということか。それにしても、「発電床」で起こした電気を、どうやって携帯機器に供給するかが問題だ。

 「駅などに携帯電話の充電スタンドを設置して、『発電床』で発電した電気を自由に利用してもらうという方法があります。また、靴のかかとに発電素子と携帯電話の予備バッテリーを仕込んでおけば、歩くだけで勝手に充電してくれるので、電池切れのときでも安心です」(速水氏)

 実際に「発電靴」を試作したところ、15分歩くと5分通話できるだけの充電ができたという。ただし商品化に向けては「耐久性が課題」とのことだ。

 ちなみに実用化が間近なものとしてはバッテリーレスリモコン(ボタンを押す力で発電)、万歩計(歩く振動で発電)があるという。

 「『発電床』には充電回路の工夫や発電素子の高効率化などクリアする課題が残されていますが、電子機器はどれも低消費電力化が進んでいるので、『発電床』の応用分野は今後さらに広がると思います」(速水氏)

 発電素子は振動によって電気を起こすので、壁に内蔵すれば音を効率よく吸収=電気に変換する防音壁になる。玩具や楽器へも応用可能という。 速水氏は、「産業分野で1年前後、家電などの民生部門へも2、3年で実用化する」と見込んでいる。

ユビキタス機器の電源など、用途は無限

 身の周りにあふれている音や振動を、電気エネルギーとして取り出す「発電床」の技術。その有望な利用先の一つと考えられているのがユビキタス分野での応用だ。

 「多くの企業からオファーがあり、現在研究開発中なので詳しくはお話し出来ないのですが(笑)。ユビキタス環境を構築する上で無数に必要なセンサーやモニタリング機器の電源として、自家発電できる『発電床』の技術が適しています」(速水氏)

 センサーが自力で電気を供給できれば、外部から電源を取る必要がないので、どこにでも置きっ放しの設置が可能となるという。いまだ「夢物語」的なイメージで語られがちなユビキタスだが、こうした技術がユビキタスを身近なものに変えていくかもしれない。

 そんな「発電床」だが、身近に体験できる機会がやってきそうだ。渋谷区はこの秋にも速水氏らと共同で、渋谷駅ハチ公前広場にて「発電床」のパネルを敷き詰める発電パフォーマンスを企画しており、現在企業スポンサーを募集している。キャッチフレーズは「省エネから創エネへ」だ。
( 斉藤円華 )


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