グリッド技術はここまで来た、今年のテーマは「仮想化の広がり」

2008年06月17日(火)

[ 87 号]

 グリッドコンピューティングと聞いて、思い浮かんだのは「Seti@home」。宇宙人からの電波をキャッチするために、インターネットを介して世界中のパソコンでデータを解析する「分散コンピューティング」を用いたプロジェクトだ。もっぱら非営利・学術分野のものと思われていたグリッドコンピューティングが、最近はビジネス分野でも応用が進んでいる。「Grid World 2008」は、そんなグリッド技術と商品、活用事例を網羅。Web2.0時代のサービスや、SOAといった関連する上位レイヤ技術と、最新の情報システムの連携まで見通せる展示会となっている。


 グリッドコンピューティングについておさらいすると、複数のコンピュータをネットワークで結び、一つの仮想的な巨大コンピュータとして働かせたり、ネットワーク上に散らばるコンピュータのリソースを有効活用させたりする技術の総称だ。

 この考えをさらに推し進めるとクラウド・コンピューティングになると言われ、実現すればインターネット自体が一つの大きなコンピュータとして機能するとも予想されている。グリッドコンピューティングのキー概念をなすのが「仮想化」なのだということをまず押さえておこう。ホスティングサービスやデータセンターにおいて最近注目されている「仮想化技術」も、まさにグリッドコンピューティングの一例といえる。

 「Xen」などの専用ソフトを用いて1台のサーバに複数の仮想サーバ環境を構築したり、複数の物理サーバを統合して負荷分散させたりすることができ、ハードウェアリソースの有効活用、つまりデータセンターの省力化を達成し、今注目の「グリーンIT」の推進に貢献すると言われている。

 コンファレンスでは、IBM、日本ヒューレットパッカード、サン・マイクロシステムズ、住商情報システムなどの各社が、グリッドコンピューティングの最新事情について、各社独自のソリューションの紹介や社内事例を交えつつ紹介する。

 会場展示ではNECがやはり「データセンター」における仮想化について中心的に展示を行うほか、大日本印刷は2003年から商品化しているというPCグリッドシステム「AD-POWERs」を出展する。これは「低価格で簡単にグリッドコンピューティング」を謳ったもので、アプリケーションを遊休PCに分散処理させて高速処理を実現。これにより処理時間を大幅に削減できるという。

 グリッドコンピューティングのはしり、いわゆる「サイエンスグリッド」の分野からは国立情報学研究所のリサーチグリッド開発センターが、5月9日にオープンソースとして公開した「NAREGIミドルウェアVer.1.0」を紹介する。

 グリッドコンピューティングをもっとわかりやすく知りたい、あるいは更に深く知りたいという人には「GridWorldチュートリアル」が用意されているので、参加してみるといいだろう。
( 斉藤円華 )


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