[日立製作所・日立システム九州・リコー・ゼンリン]

極小ICチップを活用し、書籍のコピーを管理

2008年03月04日(火)

[ 74 号]

 著作物の複写利用は、著作権法で事前に著作権者の許諾を得ることが必要とされるが、紙媒体については利用者からの申告以外に著作物の複写利用状況を把握する手段がなく、不適切な複写利用が日常化している。一方、利用者から著作権者の許諾を得るために、著作権管理団体への申請や利用料の支払い、複写利用の許諾証明といった煩雑な作業が必要であるため、容易に著作物を複写利用できる環境が整備されていない。

 こうした状況のもと、株式会社日立製作所、株式会社日立システム九州、株式会社リコー、株式会社ゼンリンの4社共同で開発された、無線ICタグの活用による「著作物の複写利用管理システム」の、実用化に向けた2ヶ月間の実証実験がこのたび終了。著作物の複写状況に応じた課金をはじめ、その管理や回収に至る有効性が確認できた。

 同システムは、「著作物」の利用状況に応じた複写利用料の支払いを可能にするもので、「著作物」に固体識別が可能な日立製作所0.4ミリ角の無線ICタグ「ミューチップ」を装着し、複写の際には、ミューチップの読み取り装置(ミューチップリーダ)を装備したリコーのデジタル複合機で複写利用記録を取得し、日立システム九州が開発する「複写利用料管理システム」により管理するものだ。

ICタグをリーダーの上にかざすだけの簡単操作

ICタグをリーダーの上にかざすだけの簡単操作


 実証実験は、昨年の11月20日から今年の1月21日まで、西日本シティ銀行北九州営業部、三井住友銀行北九州法人営業部に同システムを設置。実際の業務の中で、ゼンリン住宅地図帳を複写利用する際に、同システムによる著作権管理が有効に機能するかなどを検証した。併せて、住宅地図の複写利用状況の把握、データ回収処理を実施し、実務に必要な情報処理システムやデジタル複合機の操作性の確認や改善要望など、実用化に向けた情報収集を行なった。

 複写機を担当したリコーの販売事業本部Operius販売計画室の村山氏は、「実用化はまだ先になりますが、今後は楽譜などにも転用できる技術なので、関係各所のご賛同が得られれば普及は進むと考えられます。また、弊社だけでなく、キヤノン、ゼロックスなど他社さんの参入が市場拡大には不可欠ですね」と語る。

紙媒体の著作権は三位一体で守る

紙媒体の著作権は三位一体で守る


 今回実証実験に使われたシステムは、ICタグリーダー、専用アプリケーションで総額10万円前後、1枚のコピー動作で20秒から30秒かかるという運用上の問題もあるが、「紙媒体の著作権保護を認知していただくためのコンソーシアム設立を関係各所に働きかけております。本システムの有効性を認知していただければ市場が明確になり、コストダウンやシステムのパフォーマンスの向上が図れます」(日立製作所広報・米山氏)ということで、実用化に向けて確かな一歩を記したことを示している。

 また、今回使用された無線ICタグ「ミューチップ」について、「電波の届く距離が30センチ程度なので万引き防止の機能は持たないが、販売記録をインプットすることが可能であるため、事実上再販することが出来なくなり、万引きの抑止力となります」(同米山氏)と語り、ミューチップの有効性を強調した。
( 櫻井弘次 )


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