相次いで演奏動画にお墨付き

ユーチューブとニコニコ動画

2008年04月08日(火)

[ 79 号]

 著作権関連の動きが面白くなってきた。これからは自演動画に関しては、投稿が可能になったのだ。これらの動きは素直に歓迎したい。

 まずユーチューブを擁するグーグルは3月27日、音楽著作権を管理するジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)と包括利用許諾契約を結んだ。これによりユーチューブには、JRCが管理する楽曲を自分で演奏したビデオなどを投稿することが正式に可能になる。

 JRCが管理しているのはミスチル、スピッツ、東京事変など多くの人気アーティストの楽曲約5000曲。これらの曲に関しての投稿が可能になるが、注意する点はカラオケや実際の楽曲を使って歌のみを録音しなおした場合などは、その曲の演奏者が持つ著作隣接権などを侵害するため不可なこと。コピーバンドのライブなどであれば投稿が可能だ。使用楽曲に関してはグーグルが支払う形となる。

 そして4月1日、今度はニワンゴがさらに大きな発表を行った。なんとJASRACとの包括契約を結び、演奏した動画のニコニコ動画への投稿が可能になったのだ。ニワンゴがJASRACに支払うのはニコニコ動画の収入の1.875%。4月1日ということで、最初は「エイプリルフール」のジョークかとも思われたが、正式に契約を発表した。締結前にアップロードされた楽曲に関しても今回の契約に含まれる。ニコニコ動画には初音ミクなどを使った「歌ってみた」や、楽器演奏の強者がそのテクニックを披露する「演奏してみた」といった人気カテゴリがあるが、これらが正式に許諾されたことになる。ちなみにアーティストの楽曲をそのまま使ったり、プロモーションビデオなどをアップロードすることは引き続き違法行為となる。

ニコニコ動画(http://www.nicovideo.jp/)の「演奏してみた」カテゴリは充実しそうだ

ニコニコ動画(http://www.nicovideo.jp/)の「演奏してみた」カテゴリは充実しそうだ


業界、ユーザー双方にとって大きな前進

 これらの動きは音楽業界が音を上げたと言うことなのだろうか? それよりも「取れるところから取ろう」ということなのだろうか? やはりこれまでの経緯を念頭におくと、後者の意味合いが強いように感じる。しかし、それでも音楽業界が頑なな姿勢を和らげて歩み寄ってきたことは、動画投稿サイトにとっても、ユーザーにとっても大きな前進と言える。「すでにあるモノからどうやって収益を得るか」を考えることこそが、音楽業界に足りなかったことだ。400万人弱のユーザーを使ってできることは、広告ひとつ取ってみても計り知れないものがある。それをいかに活用するか。大きなビジネスチャンスが、そこに広がっているのだ。

 次の一手としては、例えば管理楽曲のMIDIデータを配布できるサイトが出てくれば面白い。今回と同じく包括契約によってデータの投稿、ダウンロードして使用が可能になれば、この分野は復活するだろう。さらにそのデータを使った動画の投稿が可能になることで、動画投稿サイトの「歌ってみた」などのカテゴリはさらに充実し、オリジナルで勝負できる本当に面白いコンテンツが生まれてくるはずだ。

 大切なのは「禁止」することではなく、「許可」すること。そしていかにしてその市場を活性化するかということだと、今回のことが示してくれることを期待したい。
( 矢橋司 )

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