最近のスローライフなどへの関心の高まりに伴い、都会から地方への移住、いわゆる「田舎暮らし」を希望する人が少しずつ増えている。
その一方、地方の山間部に属する市町村では過疎化や住民の高齢化、またそれに伴う限界集落(※)化への対策が深刻な課題となっている。
そうした流れを受けて、福島県会津地方振興局は先月27日から「空き家・地域情報サイト」を公開した。福島県西部の空き古民家物件や地域についての情報を提供することで、田舎暮らし希望者の定着を促し、地域振興に結び付けたい考えだ。

空き家・地域情報サイトは、福島会津地域振興局(http:// www.pref.fukushima.jp/aizu/shinko/)が制作。奥会津地域6市町村の、古民家を中心とした空き家情報を公開している
古民家物件を検索可能
現在網羅されているのは、奥会津と呼ばれる地域の6市町村で、農林業を主な産業とする。山深い地域がほとんどで、冬には所により2メートルを超す積雪にも見舞われる。同サイト内の「空き家物件データベース」には28件の空き古民家物件が登録され(4月1日現在)、市町村ごとに選べるほか、駅の近さや除雪車が家の前を通るかなど14項目の条件を指定して探すことも可能だ。さらに物件ごとの外観写真や間取り図とあわせて、築年度や空き家になった年度、補修が必要かなどの詳細情報も充実。既に移住を実現した11人へのインタビューも掲載している。
田舎暮らしを検討する際には『田舎暮らしの本』や『自休自足』などの専門雑誌から情報を得るのが一般的だが、「空き家・地域情報サイト」を利用することで、手軽にこの地域の「田舎暮らし情報」が得られる。今年度は登録市町村を更に拡大する予定だ。
空き家は地域の宝
今回のウェブサイト公開は、昨年度から福島県会津地方振興局が進める「『会津の宝』活用事業」の一環として行われている。空き家を地域の資源=宝と考え、都市部からの田舎暮らし希望者の定住先として紹介するのが目的だ。またデータベース作成に際しては、地元の会津大学短期大学部の学生が実際に物件を現地調査するなどの作業を担った。
会津地方振興局企画商工部主幹の本田良子氏は本紙取材に対し、「都市部で物件情報を扱う不動産業者も、町村地域にはなかなか入っていけない。代わりに行政が空き物件情報の情報発信をすることで、田舎暮らし希望者の定住が促進されればと考えている」と語った。
国土交通省の2005年度の調査によれば、全国に約6万2000ある集落のうち、すでに1割強が限界集落へと転落しているという。地方の過疎地域では「村が消滅する」という危機感が現実のものとなりつつある。
都市部からの、特に若年層の定住者が増加することは地域共同体の維持と活性化に直結し、ひいては自治体税収の向上、財政健全化にも結び付く。今回の「空き家・地域情報サイト」は、地方復興に果敢に挑む試みとして今後、注目を集めそうだ。
※限界集落:過疎化などで人口の50%が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭などの地域生活の維持が困難になった集落を指す。急速に増加し、問題視されている。
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斉藤円華
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