iTunesストア 全米楽曲販売トップに

2008年04月15日(火)

[ 80 号]

 アップルは4月3日、今年の1月・2月において、iTunes Storeの楽曲販売がWal-Martを抜き、全米トップの音楽小売業者になったことを発表した。楽曲数12曲をCD1枚と換算して集計した結果だ。オンラインの音楽販売が、リアル店舗を追い抜いた歴史的瞬間となった。

とうとう全米一となったiTunes Store

とうとう全米一となったiTunes Store


 iTunesストアが開始されたのは2003年4月。iTunesストアが、わずか5年でここまで大きくなった理由は、その便利さにある。1曲99セント、アルバム1枚9ドル99セントという値付けは今でも基本的に変わらず、分かりやすい。欲しい曲がいつでも手に入る、1曲単位で買えるという利便性は、一般ユーザーだけでなく、それまでP2Pなどで不正コピーをダウンロードしていたようなユーザーにも受け入れられ、「探してダウンロードで何時間も待つよりもiTunesで買えば良い」という意識を植え付けた。結果として、合法音楽配信サービスの利用者の増加率はP2Pユーザーよりも高くなっている。四大レコード会社は価格決定権をアップルに握られていることに対して不満を持っているが、開始から5年で40億曲を販売し、今回のウォルマートを抜いて小売業者のトップに立ったことは、やはりこのシステムが一般からは支持されていることを示していると言っていいだろう。

 音楽販売の舞台がリアル店舗からオンラインに移りつつあるのは事実のようだ。米マイスペースは4月3日、大手音楽レーベル3社と契約を結び、MySpace Musicの設立を発表した。ソニー、ユニバーサル、ワーナーが参加し、マイスペースの音楽コミュニティとしての部分に注目しての展開となる。

 オンライン販売大手のアマゾンがMP3の楽曲販売を始めたのは昨年9月。四大レコード会社すべてが参加しての展開は対iTunesという意志も見える。

 しかしこれら他の音楽ダウンロード販売が展開できるようになったのも、アップルCEO スティーブ・ジョブズが提唱したDRMフリーが実現したからだ。どこで買ってもどの機器でも再生できる土壌ができたからこそ、オンライン音楽販売ははじめて競争ができるようになったわけだ。

 対して日本はどうだろう? 4月3日に再開された私的録音録画補償金小委員会において話し合われたのは、DRMフリーに逆行する「DRMの整備が整い、権利者の経済的不利益が解消されたのち、私的録音録画補償金制度を縮小する」という方向性だ。買いやすい値段設定などを行うことでオンライン販売を推進し、音楽の魅力を取り戻すことで利益を増すなどという考えは、日本の音楽業界にはないのだろうか? iTunesに始まる音楽ダウンロード販売のトレンドはDRMを廃する方向に進んでいるというのに、ここでも日本だけの「異様な進化」が起こるのだろうか。

 首位の座を明け渡したウォルマートも、オンラインミュージックストアを改装。音楽フォーマットをMP3へと移行し、DRMを全廃するようだ。世界は今、DRMフリーの音楽販売が動かしているのだ。

DRMフリーの音楽配信を開始したウォルマート

DRMフリーの音楽配信を開始したウォルマート

( 矢橋司 )

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