《iDC活用事例》 株式会社パイプドビッツに聞く、SLAのレベル保持へコストと安定性を重視

2008年07月08日(火)

[ 90 号]

 株式会社パイプドビッツ(東京・港、佐谷宣昭代表取締役社長兼CEO)はメール配信・会員DB管理のASP「スパイラル・メッセージングプレース(以下、スパイラル)」を展開。2006年12月に東証マザーズ上場を果たすなど、メールマーケティング支援事業を軸に近年成長を遂げている企業だ。「データベースの銀行」というコンセプトを掲げ、顧客企業のデータ活用を支援する同社にとって、セキュリティの確保はまさに「ミッションクリティカル」なテーマだ。そんな同社がデータセンター(iDC)を選ぶうえでのポイントは、どのような点にあったのだろうか。CCOの青木宏実氏とシステム基盤整備部マネージャー細沼謙介氏に話を聞いた。

 同社が展開する「スパイラル」は、メールとメルマガ配信を中心としたASPサービスだ。これまでに官公庁や大手金融機関を中心とした1100超の利用者数を誇っており、実績には目をみはるものがある。

 その特徴についてCCOの青木宏実氏は「『スパイラル』はお客様企業のメール配信はもちろん、顧客管理などのマーケティングツールとして利用をいただいております。例えばお客様の誕生日に割引メールをタイムリーに配信し、購買意欲につなげるといった使われ方です」と説明する。

同社CCO兼情報取扱責任者の青木宏実氏

同社CCO兼情報取扱責任者の青木宏実氏


 企業がメルマガなどを通じてホームページから顧客の情報を受け付け、入力情報を同社が利用しているデータセンター内のサーバに蓄積。マーケティングに活用するというものだ。誰がいつ、どの内容をクリックしたかをカウントするレポート機能やアンケートの収集分析、プレゼントキャンペーン受付、資料請求など、さまざまな機能を備えている。

セキュリティは万全の体制築く

 「データベースの銀行」というコンセプトを掲げる同社では、大量の個人情報を取り扱う。それだけに、データの安心・安全性、有効な活用を実現するためのセキュリティ体制には特に気を使っている。

 業界に先駆けてプライバシーマークを取得したことはもちろん、ISO27001、9001なども取得した。
 加えて注目されるのは、ASP・SaaSの安全性などを認定する「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」(財団法人マルチメディア振興センター)で、同社の「スパイラル」が第一号の認定を受けたことだ。

公式サイトでもセキュリティ面を強調している (http://www.pi-pe.co.jp/)

公式サイトでもセキュリティ面を強調している (http://www.pi-pe.co.jp/)


 同認定制度をパスするためにはISOよりも細かで、かつ厳格な100項目近い審査をパスしなければならない。そのため、「データセンターの運用実態はとくに重点的な審査を受けました。監視データの保存期間、無電源装置の有無や電力供給時間などについても具体的な数値を提示することが求められました」(青木氏)という。

 今後、同認定制度を取得したいと考えている企業は、データセンターのセキュリティ面やファシリティにも注視する必要があるだろう。

費用対効果が選択の基準に

 一方、iDCの選定にあたって、同社が最も重視したのはどの部分だったのだろうか。

 システム基盤整備部マネージャーの細沼謙介氏は「セキュリティ上、データセンターの場所や事業者名を明かすことはできませんが」と前置きしたうえで、「選定にあたっては費用対効果の面は重視しました。上を望めばキリがありませんが、コストを無視するわけにはいきませんでした」と振り返る。

同社システム基盤整備部マネージャーの細沼謙介氏

同社システム基盤整備部マネージャーの細沼謙介氏


 同社では2001年からSLA(Service Level Agreement)を顧客に提示している。そこでは安定性(稼働率99%)、パフォーマンス評価、尺度、トラブル管理、セキュリティ管理、サポートなどを明文化し、これらが満たされない場合のペナルティーまで規定し、サービス品質の維持に努めている。そのため、「SLAのレベルを保つために、毎年データセンターのチェックは欠かさず行っている」(青木氏)という。

長い目で考えiDC選びを

 一方、「新しいサーバを設置したり、機器の状況を目視するため、2週間に1回はデータセンターに通っている」(細沼氏)というから、都心など便利な場所にiDCが位置していることも選定ポイントの一つだったようだ。

 同社は今後、現在の顧客情報の管理ツールから、インターネット上のあらゆるデータを合理的に管理するノウハウを提供する、総合的なマーケティング・サポート会社を志向している。そのためにもデータセンターとの緊密な関係は今後も不可欠と見ている。青木氏は「データセンター側に業務を丸投げするのではなく、やはりしっかりとした方針に基づいて活用していくことが重要」(青木氏)だと話す。

 また、これからデータセンターを選ぶ企業や担当者に向けては、「規模が大きくなった時のことも考え、移転などでサービスを止めてしまうことがないように、長い目で考えて選択する必要があるのではないでしょうか」(細沼氏)とアドバイスしてくれた。
( 文:丸山隆平、写真:岡部ユミ子 )

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