ネットでマンション値下情報、新サービスの「得住」に注目

2008年08月05日(火)

[ 94 号]

 不況にあえぐマンション業界で、インターネットを活用した新たなサービスが登場した。株式会社ビジョナリープレイス(東京・池袋、馬水茂男代表取締役)が7月25日からスタートさせた「得住(とくすま)」は、ネット経由で最新のマンション値下げ情報などが得られるというものだ。これまでのマンション業界にはなかった新たなサービスとは一体どんなものだろうか。

「得住(とくすま)」利用にはID登録が必要だ http://www.tokusuma.com/

「得住(とくすま)」利用にはID登録が必要だ http://www.tokusuma.com/


 「得住」は、完成済みマンションの未入居物件を紹介するWebサイト。新築の分譲マンションは通常、完成前に各住戸を売り出し、早期に完売することを目標としているが、完成後も一部の住戸が売れ残ってしまった物件は、マンション業者の大きな負担となっている。

 マンションの建築ラッシュが続き、毎年8万戸以上の物件が販売されていたのも数年前の話。不況や価格高騰などで売れ行きは鈍り、ここ2年では約1万戸が未入居物件となっており、特に昨年後半からマンションの成約率が低下している。

 こうした中、マンション業者は未入居物件に対して高い広告費をかけて宣伝したり、マンションの下見客に対して値下げや家具・家電をプレゼントしたりと、あの手この手で売り切ろうとしている。例えば広告では、近隣へのチラシ配布のような昔ながらの方法などに加え、ネット上のマンション情報サイトへ物件情報を有料で掲載してもらうなどを行っている。

 ビジョナリープレイスの馬水茂男代表取締役は「従来の広告では集客できなくなってきている」と指摘する。また、下見客だけに値引きや購入特典を付けるといったお買い得感を出すようなやり方では、結局限られた顧客にしか情報が行き渡らないうえ、顧客にとっては現地に出向かなければ情報を得られないという問題があった。

ビジョナリープレイスの馬水茂男代表取締役

ビジョナリープレイスの馬水茂男代表取締役


 加えて、完成後も広告を出し続けていると「売れ残り」という負のイメージを持たれかねないため、完成済み未入居物件を早期に売り切りたいが、集客力の低下で本当に購入してくれる顧客をなかなか確保できないという事態に陥っている。

 同社ではこうした点に着目。販売側が早期に売りたい完成済み未入居物件のみを取り扱い、サイト上に情報を掲載。従来は下見客などに個別に伝えられていた値下げや購入特典の情報を、サイトにアクセスしたユーザーにも提供。販売側からは広告費を取らず、成約時に3%の手数料を受け取ることで広告費の削減も狙った。

 実際のサイトでは、完成済みマンションの未入居物件が一戸ずつ紹介され、値下げや特典情報が更新されるとそれがすぐに分かるように表記される。興味を持ったユーザーはIDを取得し、自宅に郵送されるIDを使って得住のインフォメーションセンターに電話をしてそれらの情報を聞き出すことができる。

 得住ではその後、ユーザーが購入への意欲を示した段階で販売までのサポートを行う。一般的なマンション情報サイトとは異なり、マンション販売業者として登録しているので、ユーザーへの一貫したサポートを提供できるのも強みだ。法的な問題もあってサイト上には直接値下げ情報などを掲載せず、直接口頭で提供するという敷居の高い方法を採るため、より購入意欲の高い人に情報が届けられるという点も特徴。事業者側にとっては、現地に来た人だけでなく、全国の人に情報をスピーディーに提供できるというのがメリットだ。ユーザーは鮮度の高い、しかもお得な情報をスピーディーに得ることが可能。完成済み物件なので現物をきちんと確認してから購入できる安心感もある。マンション業者は、コストをかけずに未入居物件の情報を全国に向けて掲載でき、より購入意欲の高い客に情報を提供できるわけだ。

 得住は、サービス自体はそれほど目新しいわけではないが、マンション業界で始まったということ自体が新しい。新たな販売手法として定着するのか、今後の動向が注目される。
( 小山安博 )

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