富士フイルム+電通の共同出資で発足したF2M、新規EC開業支援 ワンストップで 《エフツーエム株式会社 浅井尚代表取締役社長に聞く》

2008年08月26日(火)

[ 96 号]

 あの富士フイルムが化粧品を販売?―。中島みゆきと松田聖子を広告に起用して注目を集める富士フイルムの化粧品「アスタリフト」。写真フィルム事業から化粧品事業への「異業種参入」でも話題を呼んでいるが、このアスタリフトのEC展開をプロモートしたのがエフツーエム(F2M)株式会社(東京・港)だ。富士フイルムと電通の共同出資で立ち上がった同社だが、主力サービスである次世代ネット通販システム「OMMERCE(オマース)」には、アスタリフトで活かされたEC展開のノウハウが詰まっているという。浅井尚代表取締役社長に話を聞いた。

F2Mが当初運用していた富士フイルムの化粧品・アスタリフトは富士フイルムが、長年写真の銀塩フィルムで培ってきたコラーゲン技術を化粧品に応用。中島みゆきと松田聖子を起用した広告も話題を呼ぶ http://www.ffhc.jp/products/astalift.html

F2Mが当初運用していた富士フイルムの化粧品・アスタリフトは富士フイルムが、長年写真の銀塩フィルムで培ってきたコラーゲン技術を化粧品に応用。中島みゆきと松田聖子を起用した広告も話題を呼ぶ http://www.ffhc.jp/products/astalift.html


EC展開に必要な機能をパッケージ

 次世代ネット通販システム・オマースは、アスタリフトにおいてまさに示されたように、新たにEC事業を開始する際に大きな力を発揮する。その特徴は大きく2つ、「ワンストップサービス」と「オープンソース」だ。

 浅井尚社長は語る。
 「通常、ネット通販を始める際には事業コンサル、マーケティング、ショッピングモール、物流などのバリュー・チェーン毎に専門業者と提携する。合計すると5、6社にも上り、煩雑な上にコストもかかるが、オマースなら一括サポートを提供できる」。同種のサービスは他では見られないという。広告代理店の電通との協業ということもあり、「顧客集め」から販 売、その後の市場調査まで一貫した効率的なワークフローを立てられるのが「ワンストップサービス」の強みだ。

あさい・ひさし氏 「今後のEC市場拡大に伴って、10代顧客の獲得や電子マネー、各種ポイントでの決済の動向把握が課題となる。オマースではそれらにも対応していきたい」と展望を語る

あさい・ひさし氏 「今後のEC市場拡大に伴って、10代顧客の獲得や電子マネー、各種ポイントでの決済の動向把握が課題となる。オマースではそれらにも対応していきたい」と展望を語る


 さらにオープンソースを使用することで従来のEC展開より大幅なコストダウンも実現している。「アスタリフトでのECシステムの立上げは当初、外部のパッケージソフトを採用した。しかし、初期導入費用は安いが、想像以上にカスタマイズ費用としてのコストがかさみ、こりゃいかんということで自社システム(オマース)に切り替えた」と経緯を明かす浅井社長。しかしオープンソースはコストがかからない分、信頼性に不安が残るのでは?

 「野村総研が提供するオープンソース支援サービス『オープンスタンディア』を全面的に導入して、バージョンアップやバグフィックスにも即応できる万全のサポート体制を敷いている」(同氏)

 システムダウンが命取りになるECだが、低コストで安全度の高いEC環境を構築できるのならば、オープンソース活用は魅力的な選択といえる。

F2Mが展開する次世代ネット通販システム「オマース」は、既存のECシステムにはなかった低価格・ワンストップのEC環境を実現。顧客層ごとに広告展開を絞り込めるのもオマースの強みだ http://www.f2m.co.jp/ommerce.html

F2Mが展開する次世代ネット通販システム「オマース」は、既存のECシステムにはなかった低価格・ワンストップのEC環境を実現。顧客層ごとに広告展開を絞り込めるのもオマースの強みだ http://www.f2m.co.jp/ommerce.html


顧客動向を敏感にキャッチ

 しかしオマースの強みはそれだけではない。広告効果の測定とEC利用者の消費動線分析を融合することで、「顧客獲得時から将来顧客ステージを考慮した広告展開」が可能となったという。これはどういうことか。浅井氏はこう説明する。

 「リスティング広告での事例を検討すると、例えば『ダイエット』と『痩身』という単語では『ダイエット』のほうが新規顧客を獲得できるが、しかし継続購入顧客の視点で見ると『痩身』に引き寄せられた顧客は繰り返し同じECサイトで購入するので、より魅力的と言える。このように対象顧客ごとに最適の広告展開を絞り込めるのが、オマースの最大の特徴だ」。言い換えれば、企業において宣伝部が担う広告戦略と、営業部が行う購買分析とをワンストップサービスの利点を活かして統合できる点にオマースの優位性があるということだろう。「企業内の組織の壁がビジネスチャンスを逃す場合もある。しかしオマースなら『どの媒体から、どんな顧客が誘導されているか』をくまなく把握できるから、組織を横断して収益力の高いEC展開を進められる」(同氏)

 もちろんアスタリフトの練り上げられた広告展開にも、オマースによる顧客把握分析の成果が反映されているのは言うまでもない。「2011年度にはEC市場は今の1.5倍、6兆円を突破する。オマースの活躍の場は今後更に増えるだろう」。浅井社長の鼻息は荒い。
( 文:斉藤円華、写真:更科智子 )

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