《ブラウザを新たなステージに引き上げる挑戦》 モジララボで「Ubiquity」発表

2008年09月09日(火)

[ 98 号]

 8月26日、ウェブブラウザ「ファイヤーフォックス」開発元モジラの研究組織、モジララボのエイザ・ラスキン氏が新しい拡張機能「ユビキティ(Ubiquity)」 プロジェクトの立ち上げを発表した。

 この拡張機能は、ウェブ上に公開されたサービスに自然言語(英語)でアクセスできるようなコマンドを作成・実行するものだ。例えば、友達とどこかで待ち合わせするメールを送るのに地図も添えたいことがある。従来は、
(1)メール本文を打つ
(2)地図サイトに行き場所を入力して地図を検索してリンクをコピーする
(3)メールに戻ってそのリンクを貼付ける
といった操作が必要だった。ユビキティではこの作業をメールに書いた場所の名前を選択してキーボードから「map」と打ち込むだけでこなしてしまう。いわばネットワーク上にあるそれぞれのアプリケーションサービスにキーワードを付けてコマンド一発で呼び出す機能だ。デフォルトでは主にグーグルやユーチューブなどのおよそ30のサービスを呼び出せるようになっている。

マップコマンドでグーグルマップを呼んでリッチテキストメールに貼り付けることも可能だ

マップコマンドでグーグルマップを呼んでリッチテキストメールに貼り付けることも可能だ


 さらに、ユビキティにはコマンド作成機能が実装されており、JavaScriptで新しいコマンドを作成することもできる。つまり、新たなウェブサービスに対応したり複数のサービスを組み合わせて利用するような独自のコマンドを作ってキー入力で自由に呼び出せるようになっている。

 また、簡単なインターフェイスで新しいコマンドを追加することができるので、誰かが作ったコマンドをインストールすれば、プログラミングのできない人にも恩恵がもたらされる。ファイヤーフォックスのユーザーがプラグインという拡張プログラムをインストールして自分好みにカスタマイズするのと同じ発想。そう、これは一般ユーザー向けの機能なのだ。

 発案者ラスキン氏の言葉を借りれば、「ユビキティはネット上にバラバラに存在するサービスやデータに言葉を結びつける試み」なのである。「地図が見たい」「翻訳したい」などやりたいことを直接表した言葉でいろいろなサービスに即座にアクセスすることでサイトの壁を乗り越えてシームレスな操作環境を提供することを目的にしている。これはネットワークアプリケーションのみならず、コンピュータの操作法までも変えてしまうくらいインパクトのある試みであると言えよう。

 今はまだ英語版のみのプロトタイプであるが、興味のある方はWikiサイト(※)にアクセスすると手元のPCのファイヤーフォックスにユビキティをインストールして試すことも、ドキュメントを読んでみることもできる。またこの製品自体オープンソースなので、腕に覚えがあればソースに手を入れて改良することも可能だ。うまく改良できたらモジララボに送ってみるのもよい。次のバージョンに採用されるかもしれない。モジラもそうした貢献を歓迎している。いつか、本当にインターネット全体が「手の内にある」と実感できるようなそんなツールに育ってほしいプロジェクトである。

※ユビキティ開発のセンターとなるWikiサイト (https://wiki.mozilla.org/Labs/Ubiquity)

※ユビキティ開発のセンターとなるWikiサイト (https://wiki.mozilla.org/Labs/Ubiquity)

( 城崎裕一 )


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