《視点・論点》 インターソフト株式会社・ラキット社長に聞く、マネーロンダリングを防ぐソリューション

2008年11月11日(火)

[ 103 号]

 米国同時多発テロ以降、金融犯罪やマネーロンダリング(資金洗浄)を防ぐため、金融機関では顧客の本人確認機能や監視システム、疑わしい取引の報告が義務付けられている。こうした世界の流れに呼応し、日本の金融業界でもチェック体制が強化されつつある。日本の金融業界は今後どう変化し、そこにITはどう関わり得るのだろうか。今年5月、資金洗浄監視システム向けソリューション『Hawkeye Anti-Money Laundering-Know Your Customer』(以下、『AML-KYC』)を発表したインターソフト株式会社のデバシス・デビット・ラキット代表取締役社長に話を聞いた。

「普通の証券会社は減少し、米国のように銀行と合併した銀行系証券会社が増えてくるのではないか」(ラキット氏)

「普通の証券会社は減少し、米国のように銀行と合併した銀行系証券会社が増えてくるのではないか」(ラキット氏)


 最近はオンラインなどで、窓口や店舗へ足を運ばずとも銀行口座が開設でき便利だが、実際どうなのだろうか?

 「ネットバンキングにしても従来通りの窓口にしても、銀行はそう簡単に口座を開くことはできません。口座開設時には、お客様の住所や名前のほか、犯罪歴や反社会活動の有無などをチェックする必要があり、ほとんどの銀行で保有する顧客情報リストを照会するのです」

 この処理は手作業なので手間とコストがかかる。そこでソリューションとなるのが『AML-KYC』という訳だ。これを使えば、導入企業独自のリストはもとより、国内外の報道機関が提供するデータベースや調査機関の信用情報、政府機関からの情報などを関連づけてデータを解析できる。これら複数の情報はデータウェアハウスに統合され、搭載したNLP(Natural Language Processing:自然言語解析)エンジンによって総合的に検索できるのだという。似たシステムを提供する企業は米国にあるが、高額で日本向けのものでなく、ニーズがあっての日本語化なのだそうだ。

 「3~4年前から大手銀行や証券会社の問題が表面化していることもあり、金融庁から金融機関に対してのチェックが厳しくなり始めているというのが現状です。そうは言っても日本のチェック体制はまだまだで、事前にではなく何か問題が起こってからチェックを始めるのです。マネーロンダリングは取引後でないとわかりにくい犯罪ではありますが、かつて南北アメリカやロシアで起こったこのような犯罪が、最近中国や日本などのアジア諸国で多く発生しているのも事実なのです」

 『AML-KYC』の価格は、標準パッケージで初期費用5000万円にサポート費用は年間1250万円。主要顧客は銀行など金融業界とのことだが、導入する企業は限られるのではなかろうか。

 「確かにコストの負担は大きいので、将来的には地方銀行向けにASPやSaaSでのサービス提供を考えています。そして、今は金融業界が主な顧客となっていますが、個人情報の照会が必要な業界、例えば不動産業界などでもニーズが見込めると考えています」

 顧客情報だけではなく、社内や社員の情報も管理監視できるため、企業コンプライアンス強化のための利用も想定される。

 「金融業界内では、インサイダー取引を未然に防ぐ目的で証券会社社員の情報をデータベース化して取引時にチェックする動きがあるようです」

 金融業界出身で、日本に約20年間住んでいるというラキット氏は「日本の銀行のシステムはこれから2~3年で米国のように強化されるだろう」と語る。金融犯罪防止の観点ではもちろんだが、現況を考えれば、コンプライアンスの観点からも、こうしたソリューションはより求められることになりそうに思える。

インターソフトHP http://www.intersoftkk.com/japanese/

インターソフトHP http://www.intersoftkk.com/japanese/

 インターソフトの『AML-KYC』は、主に銀行や証券会社、保険会社などの金融機関向けに提供されるソリューション。5月の発表以降もNLPエンジンの改良を続けており、現在ではさらに検索しやすく、ヒット率も向上したという。まず日本語対応から始め、2年以内に韓国語や中国語や英語にも対応していく予定だ。10月31日には最新版が発表された。

( 石田絢子 )

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