~「社内ブログ導入・運用ガイド」(技術評論社)~

社内情報共有ツールとしてのブログ

2007年07月24日(火)

[ 46 号]

社内ブログ導入・運用ガイド ■形式:A5判 184ページ ■著者:木村早苗 ■監修:株式会社ドリコム 内藤裕紀、安藤正樹 ■定価:(本体1,780円+税)

社内ブログ導入・運用ガイド ■形式:A5判 184ページ ■著者:木村早苗 ■監修:株式会社ドリコム 内藤裕紀、安藤正樹 ■定価:(本体1,780円+税)

導入しやすいナレッジデータベース ブログといえばまだ個人ツールとしてとらえられがちだ。ビジネス利用としてはクチコミマーケティングがまず浮かぶだろう。このようなCGM(消費者生成メディア)として位置づけられてきたブログだが、社内の情報共有ツールとしても活用する動きが出始めている。

 イントラブログとも呼ばれる社内ブログは、企業内部で社員が作成したブログの集合体だ。通常のブログのように、ある社員が書いたエントリーを他の社員が閲覧し、コメントやトラックバックを付けたりできるほか、全ブログを一括表示するポータル機能、プロフィール機能、提案書やプレゼンテーション資料などをブログにアップロードするファイル添付機能などが搭載されているものもある。

 社内での情報共有方法は、以前から多くの企業で課題となり続けている。ノウハウやスキルが個々の社員に蓄積されてしまい、上司や先輩から部下や後輩に、個人から個人へと引き継がれるかたちが日本社会では多い。このため、「職人技」を持った社員が退職したり、組織変更が行われると、後継者は散逸した情報をかき集めたり、一から再構築する必要に迫られる。

 組織や社員の流動が激しくなった昨今、情報を他の社員が見てもわかるかたちで残すため、ナレッジデータベースが導入されるようになったが、本格的なシステムを構築し、運用するためには、まず、ナレッジデータベースにインプットしやすいように、業務プロセス自体から見直す必要があり、大がかりな準備が必要になりがちだった。一方、社内ブログは厳格な規則にとらわれずに社員が書くことができるため、それまでの業務プロセスのまま導入しやすいというメリットがある。
「ゆるい」システムとしてのブログのメリット
 もちろん社内ブログにしても、なんとなく導入したでは、成功しない。どのような目的で利用するのかを明確にし、運用体制を考え、導入後の社員への周知徹底などを行う必要がある。

 本書では、社内ブログ用のツールについても言及しているが、多くの部分を導入から運用開始、そして見直しまでの過程の解説に割いている。また、成功例だけでなく、失敗例やその要因も掲載し、社内ブログを情報共有やコミュニケーションに使う場合に踏まえておかなければならないポイントを具体的に理解できるようにしている。ケーススタディで挙げられている企業の中でも、約10万人の全社規模で利用しているNECを除き、目的を絞り、人数を限定して効果を確認しながら少しずつ広げる手法が、一般的な企業では参考となるだろう。合理化のみを追求せず、「ゆるい」部分を残した社内ブログは、従来のナレッジデータベースよりも、日本企業に受け入れられやすい面があり、今後の広がりが期待される。ただし、参加人数が増え、大量の情報が集まった場合、「ゆるい」社内ブログであるがゆえに、機密情報の社外流出などの危険性が伴うことも忘れてはならない。その一方で細かな制限を設けすぎては活性化しない。参考として、本書でも、米国IBMの社員のブログ利用ガイドラインの抜粋が紹介されているが、運用が波に乗った後、どのように社員ブログを運営・管理して行くか、その先の話にも興味が湧くところだ。
( 石田優子 )

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