英フィナンシャル・タイムズ、米NYタイムズの無料制導入

海外大手新聞社の無料購読化

2007年11月13日(火)

[ 61 号]

 世界有数のビジネス情報紙、英フィナンシャル・タイムズは、オンライン版、FT.comで今年10月から「First Click Free」システムを導入。これは、グーグルを筆頭に他30にも渡るパートナー企業と連携し、パートナーウェブサイトから直接リンクされているFT.comの記事をクリックした場合は、登録や購読料の手間など一切なく、無料で記事が閲覧できるというもの。
有料制の思わしくない伸び
 FT.comの編集長を務めるイエン・チェン氏は、「FT.comがインターネット網の要として、またデスティネーションサイトとしての成長を期待している」と、この新しいビジネスモデルによるサイトへのトラフィック増加の期待を述べている。システムとしては、最初の五件を超えた場合は、登録だけが必要になり、以降は1ヶ月30件の記事をリミットに、どの記事でも閲覧する事ができる。30件を越えると、1ヶ月£99~199の購読料が発生する。

 アメリカでも今年9月、最大手NYタイムズがオンラインニュースの購読料を廃止した。2年前のNYtimes.comによるオンラインサービス開始後、トップニュースなど一部の紹介記事を除いて、人気コラムニストによるコラムやアーカイブなど記事詳細はすべて登録制、年間$49.95、1ヶ月で$7.95という有料購読制をとってきていた。数々の無料オンラインニュースが進出する中、大御所のNYタイムズは有料でも生き残るかと思われたが、やはり影響はあったようだ。

 NYtimes. comの業務を管理する本部長のビビアン・シラー氏によれば、オンライン広告の伸びに比べ、有料制の購読システムの成長が大きくなかったこと、またグーグルやヤフーなどからのリンクによって発生する本サイトへのトラフィックが思いのほか激増していることが有料制廃止の要因だという。一部の過去アーカイブを除き、ほぼ全ての記事を無料で閲覧できる無料制を導入した9月から1ヶ月経ち、サイトへのアクセスは着実に増加、特にコラムを中心とした「Opinion」セクションへのページ訪問者は倍以上の伸びで、サイト全体でも10%ほど増加しているという。

 大手新聞社が次々とウェブサイト上でのニュース配信を無料化する流れについて、メディア・リサーチ会社、Borrel Associatesのコルビー・アトウッド氏はNYタイムズ紙上で、「ニュースサイトを有料にする在り方には常に疑問があったが、それがウェブのトラフィックとオンライン広告の収益が重なってますます高まってきている」と話している。氏によれば、広告収入と購読制による収入では、一見購読者からの利益のほうが高そうに見えるが、長い目で見ると、つまるところサイトへのトラフック数が増える結果、広告収入が優位に立つというわけだ。

 グーグルやヤフーに代表されるオンラインニュースの無料配信システムから、大手新聞社へリンクするニュース購読形態は、大手新聞社のウェブサイトにも影響を与えている。オンラインサービスも断固として有料登録制をとり、その地位を守り続けてきた彼らにも、有料サービスに終止符を打つ時代が来たようだ。
( 松本貴子 )

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