#002 スタートフォース株式会社 (CEO・ジン・コウ氏)

【pick up a start-up(注目ベンチャー探訪)】

2008年01月16日(水)

[ 67 号]

 「ウェブデスクトップ」はインターネットに接続できる環境があれば、▽デジタルカメラで撮った写真の保存や公開▽ワープロや表計算ソフトでの文書作成と公開▽チャット▽ゲームで遊ぶ―といった機能をブラウザ上で使えるようになる。現在日本ではフュージョン・ネットワークサービスと共同で「スタートフォース」が提供されている。同ソリューションの生みの親であるスタートフォース株式会社のCEO、C・ジン・コウ氏にウェブデスクトップの可能性と将来像を聞いた。

マレーシア出身。UCバークレイでコンピュータサイエンスを学ぶが、すぐに学ぶべきものがないと判断し、ロースクールに転入。2000年に初来日。新宿でサイボウズ・グループウェアというバナー広告に感化され、カリフォルニアに戻ってから「シェアスペース」という会社を設立し、後にASAHIネットに売却。再来日の際、日本のブロードバンド環境が整備されていることに着目。現在に至る

マレーシア出身。UCバークレイでコンピュータサイエンスを学ぶが、すぐに学ぶべきものがないと判断し、ロースクールに転入。2000年に初来日。新宿でサイボウズ・グループウェアというバナー広告に感化され、カリフォルニアに戻ってから「シェアスペース」という会社を設立し、後にASAHIネットに売却。再来日の際、日本のブロードバンド環境が整備されていることに着目。現在に至る


 起業のきっかけについてジン社長は、「ウェブ上にデスクトップを持つというアイデアは大学生の頃から持っていました。これが現実味を帯びたのは、2005年10月にグーグルマップを見て感動したことが大きいですね。この技術にAjaxという技術が使われていることを調べたところ、ウェブデスクトップに転用できると考え、エンジニアである友人のジミーと一緒にスタートフォースを立ち上げました」と語る。

 今、米国ではウェブデスクトップを提供している会社は22社あるが、日本ではスタートフォースが初。現在、NTTコミュニケーションズなど2社が市場参入を図る。

 スタートフォースのビジネスモデルは、コンシューマ向けには無料で配布し、ビジネスユーザーに有償で提供するというもの。では、法人ユーザーのメリットとは何なのか――。大きく二つのポイントがありそうだ。まずは、コスト削減。通信機能とブラウザ環境があれば、通常ウィンドウズ、officeで行う仕事がほぼ完結する点。経理上ソフトウェア資産を持たないためコスト削減につながる。また、シンクライアント環境のため、フルセキュリティ、フルモビリティが可能な点だ。

 「経費削減とシンクライアントの導入。これからの企業ではウェブデスクトップの採用は益々検討されていく」とジン氏。

 また、現在、携帯電話でのブロードバンドデスクトップも開発中。NTTデータ、NECとも契約を結び、最優先事項としてモバイル版の開発を進めている。

エンジニアは「無理だ」、その声押し切って作る

 ブロードバンドデスクトップ以前、Ajaxでは地図ソフトや株価チャート、シンプルなワードプロセッサなどの機能しかできなかったが、ジン社長はAjaxでOSを作ることを提案。フラッシュとジャバを使わず、どのブラウザでも使用できるようにしたいと考えた。エンジニアのジミーは「無理だ」と答えたが、「シリコンバレーは無理なことが出来るところだから」と押し切り、勢いで作り上げてしまった。

 その結果、インターネットエクスプローラ、サファリ、ファイヤーフォックスなど、どのブラウザでも使用できるようになり、ブロガーからは「素晴らしい」「信じられない」と賞賛されたという。

 「しかしながら、美しいシステムを高い技術で作り上げても、ビジネスモデルがなかったら意味がない。マーケットのファーストムーバーとして、ウェブデスクトップ市場を確固たるものにしたい」とジン社長は考えており、「99、00年はグループウェアが登場し、現在の主流になっている。同様にウェブデスクトップが08年以降の言葉にしたい」と自信を見せる。

 日本国内では昨年10月に『日経ネットワーク』誌がウェブデスクトップを取り上げるなど注目を集めつつある。スタートフォースは、NEC、NTTデータ、フュージョンという有力な代理店を得て、ウェブデスクトップのセールスを積極的に進める構えだ。

 ジン社長は「2008年は導入事例を多く獲得し、4年後にはメジャーな存在になっている」と予測する。一方で「シンクライアントの要望は出始めているものの、実際の導入は遅れています。金融機関や大学関連で導入事例があるに過ぎません。今後、法人ユーザーがコスト削減とセキュリティー対策に本腰を入れればウェブデスクトップはもっと伸びてくると期待しています」と締めくくった。
ブラウザ上で動くOSとアプリケーション ~ スタートフォース

詳細お問い合わせは:
「StartForce」オフィシャルHP(http://www.startforce.jp/)


主な機能:ワードやエクセルライクなアプリケーションを使って、テキスト・文書・表計算ファイルの作成・表示・編集。ファイルのアップロードとダウンロードやファイルの共有・ファイルの転送など。特定のPCから離れても作業を継続できるような環境を作ることを目指す。また、開発者向けAPIも公開中。「現在、zohoやEditgridが使用可能で、ウェブアプリケーションを稼動させる十分な完成度と安定性は実証済み。スタートフォース上で動くアプリをどんどん公開してください」(ジン氏)


( 文:櫻井弘次、写真:岡部ユミ子 )

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