謎の広告代理店「隙間広告社」の実態とは!?

2008年01月22日(火)

[ 68 号]

 昨年12月、前代未聞の広告代理店が渋谷に誕生した。その名は「隙間広告社」。サイトのトップ画面に描かれた廃墟風の建物が社風を物語っており、「裏路地営業部」「伝言マーケティング部」「駐車/路上営業部」の3部署が、既存の発想にとらわれず、超ニッチな媒体の発掘に日夜、奔走しているらしい。

隙間広告社(http://www.skima.in/) サブカル好きな人はハマること請け合い。なお、隙間広告社では一般からも広くアイデアを募っている

隙間広告社(http://www.skima.in/) サブカル好きな人はハマること請け合い。なお、隙間広告社では一般からも広くアイデアを募っている


 例えば、裏路地~部ポリバケツ課は、まとまった数のボックスを設置してくれる店舗を求め、居酒屋を中心に営業を展開。依頼があれば、ボックスそのもののカスタマイズも請け負う。伝言~部回覧課は、駅前などからクライアント店舗まで10メートル間隔に人員を配置し、バトン形式で回覧板をまわして一般通行人の誘導を行う。街頭に立つのは「出来る女オーラ」を発するスタッフばかりだ。

 ……と、いかにも怪しげな話だが、タネを明かせば、これはイベント・セミナーを中心に手掛ける「フロンティア・インターナショナル」のデジタルプロモーション&ソリューション部が手掛けるPR企画である。ただ、全部が全部冗談というわけではなく、キャストのオーディションを行い、芸人まで起用した「社歌」のプロモーションビデオがまんざらでないことを物語っている。

 「弊社が標榜するスタンスとして、広告価値のなさそうなものをかき集めて、ゼロから媒体を作り上げる“ロングテールアドバタイジング”がある。実際、フロンティアとして、小学生のランドセルに交通安全広告を貼るという試みに成功した実績もあり、これを応用すれば、一定人数の女子高生のかばんやネイルをパッケージにした広告なども成り立つ。隙間広告社としてのアイデアでは、駐車場の回転盤などが具体化に向けて構想に入っている」(同社担当・小久保氏)

 ただ、ビルとビルの間にある壁面などは権利関係が難しく、先述のランドセルの一件についても、交通安全協会の協力があって成立した経緯がある。また、費用対効果どころか、価格設定などが未知であることから、「すべては実験の域を脱していない」ことも事実だ。「先にアイデアばかり話しておいて何だが、社を挙げて本格的にニッチ広告を行おうというわけではない(笑)。というのも、このプランは、渋谷に居を構える弊社とその考え方を、いかに体現するかが出発点にあった。ポリバケツやダクトに広告を貼る行為は、イメージの悪い場所のクリーンアップという目的の方が強い。まずは渋谷という街の活性化にひと役買えれば成功と考えている。その上で、旧態依然たる会社では不可能なアイデアを出せる企業であることをアピールできたら」

 20数年前、記者の実家の近所には、ドリンク剤のプレート広告をブロック塀に貼った家がたくさんあった。メーカーと近隣の個人薬局が仕掛けた展開だが、それなりの効果を見せていたと同時に、これが不思議と幼少のころの心象風景となって残っているのである。爆笑のこのプロモーション企画には、先々似たような効果を生み出してくれるかもしれない。
( 板垣威史 )


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