JR東京駅八重洲北口で「発電床」の実証実験

2008年02月13日(水)

[ 71 号]

 JR東日本は、1月19日から3月初旬まで、東京駅八重洲北口改札内で「発電床」の実証実験を行っている。

発電床は、東京駅八重洲北口改札内にゴムシートを敷く形で設置されている

発電床は、東京駅八重洲北口改札内にゴムシートを敷く形で設置されている


 「発電床」は、床を歩くだけで発電できるため、クリーンエネルギーとしてその可能性が注目されている。仕組みは、床を歩く際の振動を床内に敷き詰められた「圧電素子」によって電気に変換し、発電を行うというもの。

 この圧電素子は直径35ミリ、厚さ約0.5ミリの小さな円盤で、銅板にセラミックの圧電体を張り合わせた形状をしている。PCなどに接続して使う薄型スピーカに内蔵されているのも、実はこれ。圧電素子に電圧をかけると振動して音が出るが、発電床の原理はこの性質を逆手に取ったものと言える。

圧電素子。これが1m2あたり600個使用されている

圧電素子。これが1m2あたり600個使用されている


ICカード専用の改札で5.5時間稼働

 今回、発電床はゴムシートを敷く形で改札通路とコンコース、階段部分に設置されている。実際に歩いてみると、通常の床と違い、ゴムの軟らかい感覚が伝わってくる。ゴムシートには圧電素子が1m2当り600個配列されている。通路脇には発電した電気を貯蔵する制御装置を設置。パネルには瞬間発電量とその日の累積発電量がLEDで表示され、「これが発電床か」と表示に見入る駅利用者も。

表示パネルには発電床についての説明を掲示。瞬間の発電量と1日の累積発電量がLEDで表示される

表示パネルには発電床についての説明を掲示。瞬間の発電量と1日の累積発電量がLEDで表示される


 同社広報部の菊池啓弘氏は「発電床の設置面積は90m2。発電量は1日に500kW秒を見込んでいる」と説明する。これは従来型改札機なら一台を十数分、ICカード専用改札なら約5.5時間動かすことが出来る発電量だ。ICカード専用改札は切符をベルトで搬送する機構が不要なため、消費電力がわずかで済むのである。

 実験は一昨年10月の実験成果を引き継ぐもの。当時は改札通路にのみ設置し(6m2)、発電量も1日に最大10kW秒にとどまり、実験3週目では発電量が低下した。今回は面積当りの圧電素子の個数を1.5倍に増やし、耐久性も向上。単位面積当りの発電効率も前回の10倍という。ならば、もし東京駅構内を全て発電床化したら相当な発電量になるのではないか。

 発電床の用途について菊池氏は「現時点では改札機やLED表示板などの補助電力として使用することを考えている。発電床が駅の省エネ化、環境負荷低減にどれだけ貢献できるかを探るのがこの実験のねらい」と語る。実用化に至るまでには、まだまだデータを取る必要があるのだそうだ。

 駅利用者の視点で考えれば、歩くだけで省エネに貢献できるのはやはり気分がいい。他方、発電床の電気の使い道として、例えば携帯の充電ステーションや無線LANエリアなどを設置するなどというのはどうだろうか。ITユーザとしてはエコをより身近に感じられると思うのだが。発電床、駅の省エネの切り札となるか。可能性は未知数だ。

 ちなみに本実験では「あくまで発電量などのデータを取るのが目的」で、発電された電気が実際に機器に使用されることはないそうだ。
( 斉藤円華 )


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