今月9日から4日間、東京ビックサイトで開かれた第15回東京国際ブックフェア(同実行委員会/リードエグジビションジャパン主催)で、デジタルコンテンツ配信に関連する事業者約60社が出展する「デジタルパブリッシングフェア」が併催された。5年連続で倍増を続ける電子書籍市場で、その8割を占めると言われるモバイル配信。好調さを裏付けるように携帯関連技術やサービスの展示が目立った。

東京国際ブックフェア内で行われたデジタルパブリッシングフェア。4日間で約7万人が参加した
.book形式の優位性をPR
インプレスR&Dの調べによると、今年3月期の国内電子書籍市場は前年比173億円増の355億円。なかでも携帯電話向けは同約2.5倍増の283億円で全体の約8割と推計されており、電子書籍の配信先は携帯電話などのモバイル端末が大半を占めているのが現状だ。
携帯向けの電子書籍ビューア「BookSurfing(ブックサーフィン)」を展開する株式会社セルシス(東京・渋谷、野﨑愼也代表取締役社長)と株式会社ボイジャー(東京・渋谷、萩野正昭代表取締役)は2社共同で出展。同ビューアは5キャリア580サイト以上で採用されるなど、国内の携帯コンテンツビューアでは最も普及していると言われている。特にコミックの分野で強く、100種類の画面効果や効果音、バイブレーション機能を備え、多彩な演出に対応しているのが特徴だ。

「BookSurfing」をPRするセルシス・ボイジャーの共同ブース
また、同ビューアに書き出せる.book(ドットブック)形式を開発したボイジャーの萩野正昭代表取締役社長が「ドットブック形式は本の原液となるものであり、そのまま電子書籍市場でも流通させることができる。iPhoneやDSをはじめ、どんなデバイスにも配信可能だ」と優位性をアピールした。

「PCが書店・モバイルが本~あらゆる液晶は本になる時代」などの講演を行ったボイジャーの萩野正昭代表取締役社長
XMDF陣営は多彩な端末展示
一方、もう一つの電子書籍用フォーマットであるXMDF(Mobile Document Format)陣営は、開発元のシャープが、PDAや電子辞書、スマートフォン、液晶テレビに至るまで多彩な対応端末を展示し実演を行った。XMDFは同社のPDA「ザウルス」などで電子書籍を読むための形式として発展させてきた。スクロール不要のワイドスクリーン対応やワイプ機能などに加え、縦・横書き選択や振りがな、外字対応といった文章表現力にも定評がある。現在、参加出版社は約275社にのぼり、マンガ分野では集英社の作品配信に力を入れている。

XMDF形式はワイド画面に対応しているのが特徴だ (シャープブースで)
同社オンリーワン商品企画推進本部の森裕子主事は「ハードメーカとして 端末の開発から一貫して携わっているのが強み」と話す。同社携帯端末の高い辞書機能を活かし、XMDFでも辞書や検索機能が充実しているのはその一例だ。
GPSで近所の書店在庫も検索
インプレスグループの株式会社hon.jp(東京・千代田、落合早苗代表取締役社長)は、電子書籍検索サイト「hon.jp」の最新版を公開した。同検索サイトは電子書籍の8割に相当する8万タイトルがDB化されている。今回の最新バージョンでは、紙の書籍の検索結果と、携帯のGPS機能を用いてその書籍をストックする近隣の書店の場所なども表示できるようになった。現在、紀伊國屋や三省堂など5社約120店舗が対応する。
国内最大の電子書店を展開する老舗のパピレス(東京・豊島、天谷幹夫代表取締役社長)は、昨年4月に開始した日本初の電子コミックレンタルサービス「電子貸本Renta!」をPR。1冊100円で48時間に限り、PC上で電子書籍が閲覧できるサービスだ。現在、コミックを中心に35出版社が参加し、1800冊超を配信している。独自のビジネスモデルとして、低価格を武器に電子書籍の新たな顧客層を開拓中だという。
急速な勢いで伸長する電子書籍市場。今月、専用端末からソニーと松下が撤退するニュースが流れたが、今展示会では2大フォーマットの「BookSurfing」「XMDF」をはじめとした携帯配信に関連した出展が多く、その流れがさらに加速していることを改めて感じさせられた。
(
本紙=西村健太郎
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