ビックタウン株式会社(東京・中央)は、モバイルによるEC(Eコマース)事業を中心に行なう、モバイルECに特化したインターネット広告代理店である。モバイルサイトの運営、EC、広告代理店およびECコンサルティング、商材の卸、人材派遣など幅広く事業展開している。同社が他の広告代理店と違うのは、豊富な経験を生かして得たノウハウをEC事業者に惜しみなく提供していることだ。モバイルECのリーディングカンパニーとして積極的なビジネス展開を進める同社代表取締役社長CEOの近藤勝俊氏に、現在のビジネスとモバイルEC市場の現状について聞いた。

こんどう・かつとし 1971年生まれ。勧角証券(現みずほインベスターズ証券)を経て楽天株式会社入社。ECコンサルタントとして活躍。2003年、ECに特化した広告代理店有限会社ビックタウン設立。2005年に株式会社となり社長に就任
売上と実績は公式サイト3位
モバイルEC市場は伸び続けている。総務省の調べでは、2003年度に1700億円だったものが2007年度は前年比29%増の7231億円の規模となった。また、情報通信総合研究所の調査では、2010年度には1兆4000億円超の規模に達すると予測されている。この波に乗り、急速に売上を伸ばしているのがビックタウン株式会社だ。
「ビックタウンは、2003年ECに特化したインターネット広告代理店としてスタートしました。クライアントのニーズがモバイルECにシフトしたためモバイルの比重が増えましたが、事業の中心はECと広告代理店です」と近藤氏は語る。
設立当時のモバイル広告は、出会い系や消費者金融が多く、広告出稿コストも高かったため費用対効果がそれほど見込めなかった。ビックタウンではクライアントニーズに答えるため、モバイルECのメディア事業に参入。懸賞サイト、占いサイトなどを次々と立ち上げ、メルマガなどを媒体として適切なコストで広告を提供する方法を取った。更に香水タウンなどモバイルECを提供。現在、自社運営サイトは11サイトに上り、総会員数は約50万人を超える(2008年7月)。全てのECサイトはドコモ公式サイトで、「暮らし・雑貨」カテゴリでは第3位の売上を誇る。

自社運営の媒体はECからエンタメまで多岐にわたる
楽天時代の経験活かす
ビックタウンには他の広告代理店と大きく違う特徴がある。ECコンサルティングだ。これには、近藤氏の楽天勤務時代の経験が役立っている。
「楽天では、EC事業者が出品する商品を広告と効果的に連動させて、売れる商材に仕上げる仕事に従事していました。ビックタウンでは売れると見込んだ商材を仕入れ、売れる広告展開で情報発信するため、確実に売上を得られます。これらの経験を元に、EC事業者に対してコンサルティングを提供しています」
ECでは、そのサイトで売りやすい商品でなければ広告を出しても売れない。また、広告の横展開により認知度を上げることで売れるようになる。それを理解せずに、ただ広告のみを制作して展開しても商品の売上にはつながらないのだという。
モバイル広告には、メルマガなどPUSH型広告とバナーなどPULL型広告の2種類があるが、ビックタウンが扱う広告は、「あまり売れない」と言われるメルマガ中心だ。ここにもノウハウがある。
ECを行う企業は中小企業が多い。取扱商品数も少なく売上規模も小さいため失敗はできない。広告への投資を回収できなければ事業が存続できなくなってしまう。広告の効果を重視する企業ほど近藤氏のノウハウを高く評価する。
「モバイルECでは広告だけで商品を売ることは難しく、商品力が必要です。長年の経験から商品を見れば売れるかどうかの判断ができます。売りやすい商品を中心に広告展開を仕掛けて認知度を上げ、受け皿となる商品ページへの誘導がポイントです。弊社はメディア事業、EC事業、卸事業を手がけているので、EC事業者の苦労やニーズを理解しています。だからこそEC事業者の立場に立ったコンサルティングが提供できるのです」
もちろん広告がすべて成功につながるわけではない。そのため、更に広告展開が失敗した場合の対応までコンサルティングしているのだ。このノウハウを欲しがる企業は多い。
健全な発展には環境整備が必要
モバイルEC業界は急速に発展したため、さまざまな面で整備が遅れている。ユーザーが安心してショッピングできる環境が必要だ。ビックタウンはリーディングカンパニーとして大きな影響力を持っており、モバイルEC業界の安定的な発展に寄与することが今後のミッションであると考えている。
「ユーザーのリスクを軽減し、安全な市場を形成しなければユーザーの信頼を裏切ることになります。そのため薬事法などを把握していない業者に対しては、薬事法セミナーを開くなどコンプライアンスの徹底に努めています。広告においても弊社で取り扱う広告については法務担当が厳密にチェックするなど、改善に向けて努力を続けています」
一方、モバイルECに特化した業界団体や協会の設立も求められている。通販業界にはJADMA(社団法人日本通信販売協会)があり、アフターケアの徹底、広告表現の適正化などを消費者団体や消費者相談窓口などと連携して行っているが、モバイルEC専門ではない。モバイルにはD2Cなどが主導するモバイルマーケティングソリューション協議会などはあるが、モバイル広告やモバイルマーケティングに特化しておりEC専門ではない。モバイルECの専門団体が必要だと考えている。
「弊社はモバイルEC業界の牽引役にならなければならないと考えています。 業界を啓発していかなければ発展しないし、業界が伸びなければ弊社も成長できない。他社とも話をしているところですが、ルール作りのため業界団体の必要性を感じています」

先日、部下の売上未達の責任をとり頭を丸めたばかりだという近藤社長
既存ユーザへのサポートも強化
ビックタウンは、さまざまな新しい取り組みにチャレンジしている。
フジテレビ系の情報番組『めざましテレビ』のフリーペーパー「めざましマガジン」と連動しためざましショッピング、ドコモショップでユーザーが会員サイトに登録するリアルアフィリエイト、渋谷109の8階にある「SBY」とのタイアップコーナーを設置し、サイトと店舗でしか買うことができない商品展開を企画するなど、モバイルの枠を超えたリアルとの連動である。
元々モバイルユーザーは、サイトの閲覧や情報交換もモバイル内で完結しており、他のメディアとのリンクにはあまり積極的でない。しかしPCやリアルのユーザーはそれほどモバイルに馴染んでいないため、モバイル広告が新鮮に映る。ビックタウンが提供しているTSUTAYAショップユーザーへのメルマガ開封率もかなり高いという。
また、既存ユーザー向けのサポートも充実させている。2008年3月から提供開始されたドコモの「iモードID」にショッピングタウン、プレタウンの2サイトがいち早く対応。iモードIDは携帯電話番号に紐づいて発行されるため、ユーザー本人であるかどうか確認でき、ログインの手間を省くことでユーザビリティが向上する。9月には全タウンがiモードID対応となるため、複数サイトの会員はひとつのサイトにログインするだけで、他のサイトへ自由に移動できるようになる。
発表されたばかりの総務省資料によれば、モバイルEC市場は予想を遥かに超える伸びを示している。ビックタウンが始めたばかりの啓発活動がユーザーのリスクを軽減し、モバイルECの安定的発展につながることは確かなことのように思える。
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文:勝山尚武、写真:八巻なつえ
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『 《ビックタウン株式会社 代表取締役社長CEO 近藤勝俊 氏》 独自ノウハウでモバイルEC業界を牽引 』に対する
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