配布チラシと販売商品の分析データ収集が可能に 【IT導入の現場 第4回 株式会社アーネスト・エフツー】

2008年08月19日(火)

[ 95 号]

 牛乳の宅配を行う牛乳販売店は、全国に大小合わせて1万5000店ほどある。株式会社アーネスト・エフツー(東京・中央、鮎貝秀興代表取締役社長、以下EF社)は、約200の牛乳販売店向けに地方名産品(ふかひれスープ・ほたて塩焼きなど)、健康食品(粉末緑茶・発芽玄米など)、嗜好食品(コーヒーなど)を卸売りしている。2年前の業務ソフトの切り換えを機にIT化を進め、業務プロセスの改善を図った。鮎貝秀興社長と同社を担当したITコーディネータの石井和男氏に話を聞いた。

アーネスト・エフツー(ef2)は全国約200の牛乳販売店に地方名産品を卸売を行っている http://www.earnest-f2.com/

アーネスト・エフツー(ef2)は全国約200の牛乳販売店に地方名産品を卸売を行っている http://www.earnest-f2.com/


牛乳販売店を通じ名産品などを卸売

 地方名産や健康食品など魅力ある商品を発掘し、チラシを作成。そのチラシを牛乳販売店に送り、一般消費者に配って注文をとってもらう。EF社から商品を配送し、代金回収は牛乳販売店に代行してもらうというのが同社のビジネスの流れだ。

 EF社はM社製の販売・会計・給与ソフトを導入していたが、納品書、注文請書、請求書の流れがシステム化されていなかった。牛乳販売店側もIT化が遅れており、商品の発注もファックスや電話で行っていたために、発注ミスや「注文をしたしない」といったトラブルも発生していた。

 「どのチラシをどれくらい配付したら、どれだけ売れたかといった販売するためのデータも提供できていなかった。ある得意先から『売り上げ分析もできていないのか』と言われ、こんなことでは顧客のニーズに応えられないと危機感を抱きました」(鮎貝社長)

経済産業省が平成19年度に創設した「中小企業IT経営力大賞」を今年1月に受賞した。「規模は小さくても『元気印の会社』であることを証明できた。大きな勲章であり、自信につながった」と鮎貝社長

経済産業省が平成19年度に創設した「中小企業IT経営力大賞」を今年1月に受賞した。「規模は小さくても『元気印の会社』であることを証明できた。大きな勲章であり、自信につながった」と鮎貝社長


 石井氏が鮎貝社長からの支援の内容を確認したところ、ソフトの入れ替えにとどまらず、業務プロセスや営業戦略、経理業務の見直しなど、ビジネス全般について改善しなければならないことが分かった。

 「業務ソフトは数社のものを検討しましたが、価格面、機能面、将来の発展性などを比較検討して『弥生』ソフトを導入することに決めました。同時に、注文書の改訂、注文請書の発行、価格体系の整備など現行の業務プロセスの見直し・改善を行いました」(石井氏)

ITコーディネータの石井氏

ITコーディネータの石井氏


 EF社にはITの専門家がおらず、ソフト導入の経験もなかったのでコード体系に関する知識が乏しかった(コード体系とは、例えばA社という得意先の本店・支店にコードナンバーを振り分けたり、Bという商品にケース別・個別のコードを付け、コードで管理すること)。コード体系の導入で「得意先合計」「商品別合計」が可能となり、得意先や商品別のデータが取れるようになった。

 業務処理としての「弥生」には問題がなかったが、「弥生」にはチラシのデータを投入できず、その分析機能もなかった。一方、業績を伸ばしている牛乳販売店からは、商品とチラシの分析データ(何枚のチラシを配ったらどのくらい商品が売れたかなど)の提示を強く求められていた。

 「弥生」稼働の半年後、石井氏は「弥生・販売管理」のバージョンアップ版として、商品およびチラシのデータを取り込み、分析し、それを牛乳販売店に提案できる「ACCESSソフト」を開発した。これによって、長年の懸案事項であった「チラシと商品との相関関係分析」ができるようになり、牛乳販売店に的確な情報提供が可能になった。

 「試行錯誤、ディスカッション、改善の中で社長や従業員の方々と十分なコミュニケーションがとれ、信頼関係も構築できました。IT導入の過程のなかで『IT経営成熟度診断』を受診していただき、『中小企業IT経営力大賞』という勲章に結びついた。大きな自信になりました」(石井氏)
 鮎貝社長は、同社の今後の目標について次のように決意を述べる。

 「牛乳販売店さんへ経営に役立つさまざまなデータを提供し、コミュニケーションすることが当社の役割。ようやくその踏み台に立つことができました。単なる商品提供にとどまらず、お客さまから信頼されるコンサルタント的な存在になることを目指します」

今回の取材先
株式会社アーネスト・エフツー
住所:東京都中央区日本橋人形町3-8-1 TT-2ビル8F(千葉県茂原市に千葉商品センター)
創業:平成11年1月
資本金:1500万円
代表取締役:鮎貝秀興
事業内容:宅配向け商品(地方名産品、健康食品など)の企画、販売
従業員数:5名
( 文:古俣愼吾、写真:更科智子 )

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