仮想通貨「ビットコイン」に関連する事業を営むベンチャー企業などが8月、業界団体を設立する。ビットコインをめぐっては関連企業の経営破綻があったため信頼性に疑問の声も上がっており、業界団体を通じた自主規制で、安心で安全なサービスを提供し、市場を成長させる狙いだ。自民党の委員会での議論や提言も踏まえて、運営していく考えだ。
3社が参加、仮想通貨の自主規制や起業を支援
今月(7月)4日、関係者が集まり衆議院会館で記者会見を開いた。業界団体の名称は、「日本価値記録事業者協会」とした。 現時点の会員は米系ビットコイン交換所の日本法人クラーケン・ジャパン、ビットコイン販売所のbitFlyer、仮想通貨決済のCoinPassの3社。Rising Bitcoin Japanの樋田桂一代表が事務局長、西村あさひ法律事務所の斎藤創弁護士が顧問弁護士に、それぞれ就任した。 今後、ほかの事業者に協会への加入を呼びかける予定。トラブルや被害の発生を防ぐため、事業運営上のガイドラインを作成したり、取引所の監査を実行したりする。クラーケンの宮口あやこ日本代表は「米国の経験も含め、ベストプラクティスを共有したい」と述べた。また、自主規制だけでなく、ビットコインなどの仮想通貨を扱うベンチャー企業の起業支援にも取り組む方針だ。
自民党の議員が同席「当面、法規制は行わない」
4日に開いた会見には、同席した自由民主党の福田峰之衆議院議員が同席した。福田氏は自民党のIT戦略特命委員会・資金決済小委員会の委員長を務める。同委員会は6月19日、ビットコイン業界に対して、自主規制団体の設立を求めた。 福田氏は「アベノミクスは世界で一番商売しやすい環境をつくっていくという考え方」としたうえで、「ビットコインビジネスはまだ、規模が小さい規模はまだ小さい。当面、法制化は行わず、暖かく見守りたい」と話した。 担当省庁が決まっていないため、それぞれの事業者は経済産業省や金融庁、消費者庁などとやりとりして適正に事業運営できるようになるとの考え方だ。「新しいビジネスが起き、広がってきてから法規制を考えたい」という。
一枚岩ではない業界、ほかにも団体設立の動きも
ただ、業界も一枚岩ではない。 この日の結成会見には当初、ビットコイン用ATMを展開するビットチェックも参加する予定だったという。しかし、同社は参加しなかった。 主催者側は「日程の都合で参加できなくなったようだ」などと説明していたが、どうやら理由はそれだけではなさそうだ。方針などを巡り、意見がまだ一致していないためとの見方もある。 業界団体的な動きをしているグループもほかに2つ程度あるという。
堀江貴文氏がかかわるビットコインビジネス開始
ビットコイン関連ビジネスをめぐっては、新規参入も相次いでいる。7月9日には、テックビューロ・ラボ(大阪市西区、朝山貴生代表)が、堀江貴文氏をアドバイザーに迎え入れ、無料のビットコインウォレット・サービス「zaif」のベータ版サービスを開始した。業界団体として成功できるかどうかは、こうした勢力をどううまく巻き込めるかにかかっている。 同ビジネスは「少し怪しい」「まだ市場規模が小さい」「将来大きく伸びる可能性が高い」というベンチャーにとって取り組みやすい特徴が“3拍子”そろっている。大企業が取り上げにくく、失うものの少ないベンチャーが取り組みやすい格好の事業領域だ。 行政に目をつけられ、つぶされるというリスクもあるが、自民党との関係を保つことで回避できる可能性もある。ビットコイン業界の成長可能性が高まってきた。

