九州最大の金融持ち株会社「ふくおかフィナンシャルグループ」(FFG=福岡市)が、「フィンテック(FinTech)」と呼ばれる新しい金融サービス分野への参入を計画、全国のスタートアップ企業を対象にビジネスコンテストの参加者を募っている。国内銀行が開催するフィンテックのビジネスコンテストは、三菱東京UFJ銀行に次ぐが、FFGはコンテストを福岡県や九州の地場企業とスタートアップ企業とのマッチングに役立て、都市銀行とは一線を画した地域金融機関の独自性を打ち出したいとしている。
米国では金融機関が独占してきた分野に進出
フィンテック(FinTech)は、Finance(ファイナンス=金融)とTechnology(テクノロジー=技術)を組み合わせた造語で、米国で生まれた金融関連のテクノロジーを指す。 クラウドコンピューティングを利用する企業の会計システムや家庭の家計簿システム、個人の資産を管理するパーソナルファイナンスマネジメント、代金の決済システムなど、分野は幅広く、仮想通貨の「ビットコイン」もフィンテックの一つだ。 欧米、特に米国で急成長しており、クレジットカードやポイントカードなど複数の機能を、ICチップ搭載の1枚のカード型端末に管理して決済に使うサービスが実用化されている。 さらに銀行口座を持たない人へのオンライン融資や国際送金などを手掛けるフィンテック企業も出現。預金や決済、融資といった金融機関がこれまで独占してきた分野に進出している。
大手都銀がフィンテック企業取り込みに動く
国内でも「楽天カード」を発行する楽天が、スマートフォン/タブレットと専用カードリーダー(読み取り機)でクレジット決済するサービスを個人事業主・中小企業に提供。融資申し込みから審査などを経て、専用カードリーダーの配送まで最短3営業日と迅速に行う。オンラインの楽天銀行を使うと入金手数料も無料になる。 こうした国内外の動きが、既存の金融機関を刺激。三菱東京UFJ銀行が今年(2015年)2月19日にスタートアップを対象にした「Fintech Challenge(フィンテックチャレンジ)2015」の募集を開始、同行との共同事業を望むスタートアップの発掘を狙った。 三菱東京UFJ銀行のコンテストは6月19日が最終選考会・表彰式だったが、それに先立つ4月には、福岡市内のホテルで開かれた創業3年未満のスタートアップが集まる「B Dash Camp(Bダッシュキャンプ)」のセッションに同行関係者が出席し、ベンチャー界から注目を集めた。 三井住友銀行もGMOインターネットとの資本・業務提携や、スタートアップを集めたコンテストを開催するなど、フィンテック企業の取り込みを進める。
スタートアップのマッチング機会提供が使命
ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)のビジネスコンテストの名称は「X-Tech Innovation(クロステック・イノベーション)2015」。 ICTを活用したビジネスアイデアを発掘し事業化支援するのは、大手都銀のフィンテックコンテストと一緒だが、「九州、福岡の主要産業を支えるビジネスパートナーと、スタートアップのマッチング機会を提供するという地域金融機関の使命」(FFG営業企画部)をコンテスト名に込めた。 コンテストにパートナーとして名を連ねるのは九州電力や西日本鉄道、西部ガス、TOTO、安川電機といった福岡市や北九州市に本社を置く大手地場企業11社。FFGは「銀行として取り込みたい新しいサービスは一部。それよりもイノベーションを起したいという地域共通の課題解決に役立てたい」(営業企画部)と強調する。
地場のベンチャー系企業に応募を呼び掛ける
全国のスタートアップを対象に9月1日に参加者の募集を始めたが、応募は1カ月間で約10件。FFGの担当者は「まずまずの滑り出し。この手のコンテストは締め切り直前になって応募者が一気に増える」と話す。 募集テーマは、(1)決済サービス(2)さまざまな「シェア」(共有)によって生活を便利・快適にするサービス――の2つ。 最優秀賞1本は賞金100万円、優秀賞2本は賞金50万円、特別賞、協賛企業賞なども用意している。 FFG傘下の福岡銀行(福岡市)と親和銀行(長崎県佐世保市)、熊本銀行(熊本市)と一体となって、各行の取引先を軸に、地場のベンチャー系企業に応募を呼び掛けるという。 募集の締め切りは10月25日。1次選考(書類)と2次選考(面談)を経て、12月22日に2次選考通過者を対象にしたプレゼンテーションで最終選考し、受賞者を決める。 審査員は九州大産学連携センターの原田祐一教授やベンチャーキャピタル「サムライインキュベート」(東京都品川区)の両角将太アライアンスディレクターらを予定している。 コンテストは、世界最大のコンサルタント会社「アクセンチュア」の日本法人が協力する。国内を飛び越えて、アジアや世界に羽ばたく九州発のフィンテック企業が誕生する可能性も秘めている。
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