金融関連のテクノロジ、いわゆる「FinTech(フィンテック=FinanceとTechnologyを合わせた造語)」に関連するベンチャーが盛り上がりを見せている。大手金融機関が金融関連ベンチャーを支援する動きも活発だ。スタートアップイベントでもFinTechが取り上げられる機会が増加。ビットコインに代表される仮想通貨や、インターネットを使った新しい資金の流れであるクラウドファンディングなど、金融の“本丸”でそうした傾向が顕著になっている。
複数のベンチャーイベントに三菱東京UFJの姿
「ゲームで言えば、ついに“ラスボス(最後に登場する難敵)”が登場してきたようなものですよ」。 福岡市で開かれた「B Dash Camp(Bダッシュキャンプ)2015」で、三菱東京UFJ銀行の関係者が出席したセッションの後でこう語った。同氏が言及しているのは、同行が6月に、FinTechに関するピッチ(短時間プレゼン)イベントを開催することだ。 三菱東京UFJと共同で事業展開を希望するベンチャーの事業を募っており、すでに締め切られたが、多数の案件が集まったようだ。 ここ数カ月、ベンチャーイベントには複数の三菱東京UFJの新規事業担当者やシステム関連のメンバーが出没。ベンチャー業界にネットワークを構築してきた成果といえる。
三木谷氏の参戦で再注目されるビットコイン
FinTechの中でもあらためて注目されているのがビットコインだ。ベンチャー関連の総合的なイベントでもビットコインは主役に躍り出ている。 Bダッシュキャンプだけでなく、同じ週の前半に開催された新経済連盟による「新経済サミット2015」ではいずれもビットコインに焦点を当てたセッションが組まれていた。 特に新経済サミット2015の冒頭のあいさつで、プロジェクターの大画面に映し出されたビットコインのマークを背に、楽天の三木谷浩史会長兼社長がビットコインの成長性に言及した際には若干のどよめきもあった。 楽天は今春から、米国でビットコインによるショッピングサービスを始める。決済手数料が安いことなどが魅力だ。年内にはドイツやオーストリアなどに広げる計画だ。同社は昨年10月、ビットコインの決済システムを提供する米ベンチャーのビットネットに出資している。
ビットコインを代表するベンチャーbitFlyer
Bダッシュキャンプと新経済サミットの両イベントのセッションに、ビットコイン関連ベンチャーを代表して討論に参加したのが、ビットコイン販売所を運営するbitFlyer(ビットフライヤー、東京都港区)の加納裕三CEOだ。 日本のビットコインをめぐっては、昨年初めにマウントゴックスが経営破綻し、顧客資産が消失したとされる事件があり、一般消費者の心証ははなはだ思わしくないものになっていた。 楽天の動きはそうした状況を好転させるきっかけだった。それに続き、bitFlyerは1月、リクルートホールディングス傘下のベンチャー投資会社などから総額約1億3000万円の第三者割当増資を実施した。
日本でも「もっと資金が向かってもいい」
リクルートのような信用力のある企業が投資することで風向きが変わり始めた。加納CEOは「ビットコインへの投資はまだ少ない。米国では100社以上が投資しているが、日本では10社以下だ。もっと資金が向かっていい」と指摘していた。 金融当局などが動向を懸念していた、融資型のクラウドファンディングを手がけるベンチャーについても同様のことが起きている。 途上国での消費者金融などに投資するネット上のプラットフォームを運営するクラウドクレジット(東京都千代田区)はこのほど、伊藤忠商事本体から2億円超の出資を受けた。

